この5年間は、あまりにも大きな5年間だった。
今までの人生で一番つらいと思った時も、
一番楽しいと思った時もあった5年間。
たくさんのことを学んで、感じて、考えて、伝えた。
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2002年度、大学1年生。
大好きな高校を卒業した喪失感と、新しい環境に、疲れきった年だった。
特に、前期の半年間は、もう絶対に戻りたくない時期。
相当疲れてて、何もする気が起きなくて、軽く鬱みたいな感じだった。
それまでの人生の根底にあった「クリスチャン」っていう
アイデンティティに疑問を持ち始めてめちゃめちゃ悩んだり、
大学生活に何の意義も感じられなくて苦しんだり。
ピースボートのボラスタ登録もしたものの、ほとんど通えずに自己嫌悪。
慣れない長距離通学もものすごいストレスだったし、
友達もほとんどつくらなくって、まさに暗黒時代だった…。
そんな中でも、夏休みに「よし、クリスチャンやめよう」って
決めたことは、大きな転機だったと思う。
そこから少しずつ上がっていけたかな。
とりあえずで入ったクリスチャンサークルで出会った先輩
(バリバリのクリスチャン)が、「やめちゃえば?」って言ってくれたんだ。
「あ、そういうのって、ありなんだ」
何かが抜けた。
年度末には、韓国に留学に行くことを決意。
電車の中で、友達と話していたふとした瞬間に「行こう」って思えた軽さも、
新しい自分だったかもしれない。
2003年度、大学2年生。
一番「大学生」らしい年だった。
クリスチャンをやめた私でも受け入れてくれて、
疑問や質問に丁寧に答えてくれるサークルの中に居場所を見つけて。
授業も少しは興味を持って聞けるようになった。
でもテストはつらかったけどね…本当に…。今だから笑えるけど…。
自分が幹事で高校の時の友達集めて飲み会したりとか、
周りの目を気にせずに一人で行動できるようになったりとか、
もう「あの頃に戻りたい」って思わなくなったりとか、
少しずつ上がっていった時。
バイトも楽しんだ。
車の免許も取った。
なんとかピーセンになじもうとする努力も続いてた。
でもやっぱりなかなかなじめなくて。
45回クルーズに申し込むも、
なんだかんだいろいろゴタゴタがあってキャンセル…。
この時はけっこう傷ついたな。
それでまたしばらくピーセンに行けなくなって。
でも、この時焦って乗らなくて良かったって、今は本当に思う。
2004年度、大学3年生。
ゼミが始まって、ゼミの仲間と仲良くなった。
イメージしてたような大学生活だなぁって、何度も思ったな。
留学の準備も、着々と進めてた。
5月の終わりから、ピーセンにもコンスタントに通えるようになった。
ポス貼りにもいけるようになって、日毎に友達が増えて。
自分の居場所を感じられるようになった。
46、47、48と、3回のクルーズを送り出したけど、
特に大きかったのは、48出航前。
いってらっパ(いってらっしゃいパーティー)の司会をやったり、
着物講座を開いたり。
「やろうと思ったら何でもできるんだ…!」ってことを、この時教わったな。
人生初の彼氏が出来たのもこの年(残念ながらもう別れちゃいましたが)。
本当にいろんなことがどんどんうまくいって、
「一生懸命頑張ってたら、やっぱいいことあるんだ…!」って実感したよ。
そして、絶対に忘れられないのが、留学に行く直前にピーセンの友達みんなが
仕掛けてくれた、サプライズ行ってらっしゃいパーティー。
仕込んでくれてたことに全く気付かなかったのもあって、
本当に本当にびっくりで、感動で、涙ボロボロだった。
今思い出しても胸が熱くなる、最高の夜でした。
2005年度、大学4年生。
この5年間の中でも、特に濃かった1年間。
というよりも、今までの人生の中で一番濃かったかもしれない。
4〜9月は、ソウルに住んで、語学学校で韓国語を学んだ。
楽しいことばっかりだったわけじゃないけど、
もちろんつらいことばっかりだったわけでもなく、
良い先生と素敵な友達に囲まれて、すごく有意義な半年間だった。
ブログを始めて、自分は文章を書くのが好きなんだって
はっきりと自覚したのもこの時期。
遠距離恋愛も経験した。
でも結局、韓国から帰って来た直後に失恋。
その失意の中で、純ボラスタ生活を始めた。高田馬場で2人暮らし。
最初こそつらかったけど、あたたかい仲間たちに囲まれて、
どんどん楽しく、忙しくなってった。
この3ヶ月は、本当に全力で駆け抜けたと思う。
ほぼ毎日ピーセンに行ってたし、日々ポス貼りをしながら、
ミーティングやらイベントやらサッカーやら飲み会やらにも参加して。
3ヶ月限定だったけど、自分の家(部屋)があって、
夜遅く(もしくは朝早く)まで、気兼ねせずに友達とお酒を飲みながら
語れるって、本当に楽しかったし、大人になった気分だった。
一日一日が、凝縮された濃さだった。
そして船。
約3ヶ月間の、地球一周。高3の時から乗りたかったピースボート。
自分の中で、大学生活は船に乗るための準備期間であり、
モラトリアムだったから、本当に、大学生活の集大成って感じだったかも。
この船に乗るために勇気を出して頑張ったことや、苦しんだことが
数限りなくあったから、出航の時は感無量で大泣きだったなぁ。
3ヶ月の船旅の中で、
本当にたくさんの人に出会ったし、
たくさんの景色を見た。
たくさんのことを学んだり、再確認したりした。
もう、細かく挙げたらキリがないくらいに。
そしてそれは、世界情勢とか、平和活動の知識とか、
いろんな国の文化ってよりも、
もっと本質的な、
人間にとって大切なことって何なのかとか、
そういうことだった気がする。
地球の大きさを感じに行くつもりだったのが、
自分の小ささを実感した。
この船旅は、私にとって本当に大きな経験で、
これからにもつながっていくものをたくさん得た大切な思い出だけど、
でも、私の中では、この船旅は「一連の流れの中の、一応のしめくくり」
みたいな位置づけになってる。
だって、数え切れないくらいたくさんのことを学んだのは、
「船に乗ってから」じゃなくて
「ピースボートに関わってから」だったから。
楽しむこと
工夫すること
真剣に遊ぶこと
自分を信じること
違う視点から見ること
近づくこと
挑戦してみること
語り合うこと
想像すること
素直になること
表現すること
実践すること
つながること
つなげること
まだまだたくさん。
陸で得たものも、船で得たものも、寄港地で得たものも、
どれも比べられないくらい、私を成長させてくれた。
幸せにしてくれた。
ピースボートばっかの生活だったわけじゃないけど、でもやっぱり、
この5年間、最も私に影響を与え続け、成長させてくれたのは、
ピースボートとそれをとりまく人々だったって思う。
本当に感謝しています。
2006年度、大学5年生。
就活と、卒論と、旅と、振り返りと、新しいスタートの年。
自分が誇りを持ってできる仕事がしたくて、
船で一緒に仕事をしたあっちゃんのラブコールもとっても有難くて、
船を降りてすぐは、ピースボートで働こうかとも考えた。
けど、やりたいことをやるなら、まずは親にお金を返して、
自立してからだ…と思って、一般企業に就職することに。
実家から通えて、
お給料をもらいながら勉強させてもらえるような会社を探して、
内定をもらった。
IT系。新しい世界に飛び込みます。
就職が決まった頃に、自転車の魅力にはまり、
生まれて初めて、自分で稼いだお金で自転車を購入。しかもロードバイク。
気持ち良くって、楽しくて、しかもエコでヘルシー。
この自転車との出会いは、この先の人生においても大きな意味を持つと思う。
船を降りてから、自分が見てきたものや得たことを、
上手く周りに伝えられないもどかしさがあった。
伝えたと思っても、伝わってなかったり。
上手く伝えられないなら…と思って、諦めてしまう時もあった。
それは今でもある。
でも、そんな中でも、同じ船に乗った小田高生のキャンベルとホタル
(在校中は、3人とも全く知らない仲だった!)と一緒に企画した
母校での地球一周「報告会」と「写真展」は、
そんな自分のフラストレーションを、うまく解いてくれた気がする。
もちろん、2人と一緒に企画を作り上げた達成感は、何にも代え難かった。
言葉にならないような感情や、その場にいるからこそわかったことを
伝えていくことは、簡単じゃないけど、
信じて、期待して、腰を据えて、
これからも少しずつ伝えていけたらと思ってる。
卒論のために2回訪れた掛川と、
その時に泊まらせてもらった静岡の友達の家
船の友達を訪ねて、愛車「小町」と一緒に出かけたつくば・北海道
予想以上に充実で、韓国語学習再開を決意した57回クルーズと、
その博多出航に合わせて、18きっぷで寄り道をした、友達の暮らしてる広島
これまた船の友達を訪ねて行った愛知と、
帰りに寄った妻籠
ゼミの合宿で行った、初めての沖縄
またまた船の友達を訪ねて、
そして日本の原子力問題の最前線をこの目で見るために行った青森県六ヶ所村
学生生活最後には、留学中の2人の友達に会いに、ドイツとイギリス
そして、チェコと「世界の車窓から」
気付けば、やたら旅した年だった。
船に乗って、日本中に友達ができたこと、お金に余裕ができたこと
ってのがあったんだろうなって思う。
今までは、行きたくても行けなかったからね。
大きい旅も、小さい旅もあったけど、どれもいい旅だったな。
これからは忙しいんだろうけど、でも、なんとか時間作って、
旅には出ようと思ってる。
講演会とか、映画上映会とか、NGOのイベントとかにも、
よく行くようになった年だったな。
もちろんこれも、続けていくよ。
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5年前の自分が、なんとなーく、漠然とイメージしてたような
自分が、環境が、生活が、
今目の前に、具体的なひとつひとつとして在る。
いや、イメージしてた以上かな。
ふとした瞬間に、
しみじみと感じられる、触れられる、味わえる、リアルな現実。
イメージの中だけのふわふわな幸せなんかじゃなくて、
ドタバタで、ごちゃまぜで、テキトーで、
あったかくて、切なくって、めんどくさくって、
爆笑で、感動で、複雑で、
明るくって、深くって、身近な幸せ。
当たり前のような気もするし、奇跡のようにも思う。
「自分でそうしようと思って頑張ってきたんだから、
このくらいのこと“あたりまえ”って思えなくっちゃね!!
まだまだ上に行くために」って自分も、
「今日こうやってまた目が覚めて、
新しい朝があるっていうことだって、なんて奇跡的なんだろう!!
大切なことを見逃さないようにしよう」って自分も、
両方とも、なりたかった自分だ。
この5年間に、私と関わってくれた全ての人に、ありがとう。
心から、ありがとう。
そこのあなたですよー。
何回言っても足りないです。
本当にありがとう。
これからも、つながっていきたい。